派遣社員は、緑ナンバーのトラックを乗務することができることは「派遣社員・出向社員、アルバイトをトラックドライバーに選任していいの?」において紹介しました。
ただ、最近、「派遣社員」をトラックドライバーに選任できることを知ったのはいいけれど、健康診断の受診は派遣元が義務を負うのか、派遣先が義務を負うのかといった質問が増えたような気がします。
そこで今回は、派遣社員をトラックドライバーに選任した場合の健康診断の取り扱いについて紹介していきたいと思います。
1.健康診断を受診させなければいけないのは…?
ボクの知り合いの運送会社は、派遣社員をトラックドライバーにしているけれど、あれって運送会社が健康診断を受けさせなければいけないのでしょうか?
そうだね。
特殊健康診断に該当する業務をしていなければ、一般健康診断は【派遣元】である派遣会社が派遣社員に対して健康診断を受診させなければいけないことになるんだ。
つまり、派遣会社が健康診断の費用を負担することになる。
一般健康診断って、雇い入れ時の健康診断や年に1回受診させなければいけない健康診断のことですよね。
そうだ。
それに、ただ一般健康診断を受けさせるだけじゃない。↓のことも義務を負っているんだ。
①健康診断個人票の作成
②健康診断の結果の労働者への通知
③異常所見があると診断された派遣労働者について医師等の意見を聴取し、その結果、必要があると認めるときは、派遣元事業主および派遣先事業主双方が就業上の配慮を行う
ただ、健康診断の結果に基づく就労に関する配慮義務は、派遣元・派遣先双方が負うことになっているので、そこは忘れたらダメだぞ。
2.健康診断に問題がないスタッフを送るのが当たり前?
ノブ先生!
ブログコメントの質問に『派遣先からすると、健康診断に問題がないスタッフを送り込むのが当たり前という風にとらえるのか?』という質問をいただきました。
これについてはいかがですか?
仕事をしてもらうために派遣社員をお願いしているから、派遣先からすると当然の要求と言える。
ただ、何をもって【健康診断に問題がない】と判断するのは非常に難しい問題だと言えるんじゃないかな。
たしかに判断に迷いますね。
ただ「健康診断の結果に異常の 所見が見られた場合は、医師から運転者の乗務に係る意見(乗務の可否、乗務させる 場合の配慮事項等)を聴取したうえで、聴取した健康診断の個人票の「医師の意見」欄 に記入を求める必要がある。 」から、それもひとつの判断材料になりうるだろう。
3.巡回指導ではどのようにみられるの?
それでは、もしも適正化事業実施機関が巡回指導に来た場合、派遣社員の健康診断はどのように見られるのでしょうか?
派遣社員がいる運送会社は知っていると思うけれど、適正化指導員は、原則、派遣運転者の健康診断の受診状況は、確認しないんだ。
つまり、「調査対象に含めない」というわけだ。
派遣元に義務があるからチェックしないんですね。
そうだ。
ただ、健康診断の結果は確認されないが、「運転者台帳」の健康状態の把握の欄を入念にチェックしていたな。
つまり、運送会社が派遣社員の健康状態を把握しているかどうかの確認をしていたというわけだ。
4.まとめ
運送会社の乗務員は高齢化が進んでいるため、健康起因事故が増加してきています。
無事故を継続するうえでも、派遣社員の一般健康診断については派遣元に義務が生じるとはいえ、確実に健康状態を把握するように努めておきたいところです。