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運行管理者試験を受けなくても資格が手に入る”裏技”があるって本当?

運行管理者資格を取得するためには、筆記試験に合格しなければいけませんが、合格率は決して高くはありません。

運行管理者試験の制度が始まった当初は、合格率が約80%以上もありました。ですが、試験の回答方法や採点方法が変わり、合格率が20%前後になった時期もあったんですよね。。。

試験の願書代と手数料だけで1万円近くもするのに「そりゃないよ!」って言いたくなります。

いまも難しい運行管理者試験ですが、じつは、試験を受験しなくてもいい”裏技”があるのです。その方法をこっそり紹介したいと思います。

1.運行管理者資格を試験以外で手に入れる方法は?

一般貨物自動車運送事業の法律である「貨物自動車運送事業法」では、次のとおり書かれています。

貨物自動車運送事業法第19条第1項(運行管理者資格者証)
国土交通大臣は、次の各号のいずれかに該当する者に対し、運行管理者資格者証を交付する。
(1)運行管理者試験に合格した者
(2)事業用自動車の運行の安全の確保に関する業務について国土交通省令で定める一定の実務の経験その他の要件を備える者

(1)「運行管理者試験に合格した者」は、言葉そのままで、試験に合格して取得する…。

つまり、一般的な取得方法ですよね。

次に(2)「国土交通省令で定める一定の実務の経験その他の要件を備える者」を見てみましょう。↓のとおり解説されています。

貨物自動車運送事業安全規則第24条第1項(運行管理者資格要件)
国土交通省令で定める一定の実務の経験その他の要件を備える者は、次の各号のいずれかに該当する者でなければならない。

(1) 一般貨物自動車運送事業者、特定貨物自動車運送事業者又は特定第二種貨物利用運送事業者の事業用自動車(以下「一般貨物自動車運送事業者等の事業用自動車」という。)の運行の管理に関し5 年以上の実務の経験を有し、その間に国土交通大臣が認定する運行の管理に関する講習を5 回以上受講した者。

(2) 一般貨物自動車運送事業者等の事業用自動車の運行の管理に関し1 年以上の実務の経験を有し、かつ、国土交通大臣の定める職務に2 年以上従事した経験を有する者。

安全規則第24条第1項に、試験を受けなくても運行管理者になれる方法が2パタ―ン紹介されていました^^

運行管理者試験を受けなくてもいい2つの方法とは?

(2)「国土交通大臣の定める職務に2年以上従事した経験」についてですが、これは、ふつうの人では取得できません。

自動車事故対策機構などで開催される「運行管理者基礎講習や一般講習の講師」をした者が該当するのです。

これでは”裏技”とは言えませんよね。

では、もうひとつの条件である(1)を見てみましょう。

・運行管理5年以上の経験者
・その間に自動車事故対策機構が行う講習を5回以上

と書かれています。

つまり、この2つの条件を満たしていれば、運行管理者の試験に合格しなくても運行管理者資格者証を手に入れることができるのです。

5年以上の時間がかかるのがネックなのですが、私たちでも試験を受験せずに資格を得ることができる唯一の方法だと言えます。

2.運行管理者資格者証交付申請の注意点!

自動車事故対策機構が行う講習を5回以上受講すると資格者証を取得できることになるのですが「ただ5回講習を受講すればよい」というわけではありません。

条件があります。

次の通達を見てみましょう。

通達 貨物自動車運送事業輸送安全規則の解釈及び運用について
第24条 運行管理者の資格要件
1. 第1 項第1 号及び第2 号の「実務の経験」とは、運行管理者等として実際に運行管理に携わっていた経験(平成19 年3 月31 日以前に実際に運行管理に携わっていた経験を含む。)をいう。

2. 第1 項第1 号の「講習」については、昭和48 年以前に行われていた陸運局長等の教習及び研修についても、修了証等の受講の証明があるものは認めて差し支えない。

3. 第1 項第1 号の「講習」のうち少なくとも1 回は基礎講習を受講すること。
4. 第1 項第1 号の「講習」の受講回数については、同号に基づいて国土交通大臣が認定した基礎講習又は一般講習を同一年度に受講した場合1 回とする。

運行管理者の講習(基礎講習または一般講習)を受講したら、1年度に受講した講習を1回としてカウントすると書かれています。

これは、言い換えれば、同一年度に、複数回、受講したとしても”カウントは1回”扱いとなるという意味です。

運行管理者の資格をすぐに取得したいから「1年間に5回連続、講習を受講しました!」と言っても、1年度にカウントされるのは「受講1回分のみ」

資格取得の条件をクリアしたことにはなりません。

つまり、5回受講の条件をクリアするためには、最低でも5年はかかることがわかります。

3.講習のカウント方法が平成19年度で変わった

運行管理者資格者証を取得する方法として、5年間の講習で取得する方法は昔からありました。

ただし、平成19年度に補助者制度が始まってから、内容が若干変わっているので注意が必要です。

①代務者⇒補助者に変わって若干変わった

運行管理者のかわりに点呼執行をする者については、平成19年以前は”代務者”と呼ばれていました。

代務者は、運行管理者の講習を受講していなくても、運送会社から信頼されている者であれば誰でもなれたのですね。

しかし、平成19年4月1日から安全規則の改正で補助者制度がはじまりました。

この制度の影響で、平成19年4月1日以前は、5回受講のうち、いつでもいいので少なくとも1回、基礎講習を受講していれば良かったのですが、平成19年4月1日以降、基礎講習の受講時期などを考慮して対応しなくてはいけなくなりました。

②受講のカウント方法が変わった

では何が変わったかというと…

資格要件による運行管理者資格者証交付申請時の実務経験期間の積算及び講習の受講回数のカウント方法が変わったのです。

簡単にまとめると、

旧)5回受講のうち、いつでもいいので少なくとも1回、基礎講習を受講していればいい
新) 【平成19年4月1日以降に基礎講習を受けた場合】 基礎講習を受講する前に受講していた一般講習はカウントされない。(代務者経験時の一般講習の受講はカウントされる)

このようになります。

…?
よくわからない。

このように感じた人も多いでしょう。

そこでサンプルを用意していますので、それを見ていきましょう。

3.もう迷わない講習のカウントの数え方

運行管理者の資格者証を手に入れるときの講習のカウント方法は、少々、複雑ですので、例を用いながら、紹介していきます。

(1) H19.4.1以前に一般講習を受講した場合

代務者として選任されていた場合、法改正されるH19.11.4.1以前の一般講習もカウントされます。

① 一般講習(H16.10.4)…平成16年度【カウント1】
② 一般講習(H17.5.3)…平成17年度【カウント2】
【運行管理者補助者制度 平成19年4月1日改正】
③ 基礎講習(H23.6.1)…平成23年度【カウント3】
④ 一般講習(H25.6.9)…平成25年度【カウント4】
⑤一般講習(H26.9.2)…平成26年度【カウント5】

気を付けなければいけないのは、代務者の実務経験の期間です。

「代務者に選任された日~H19.3.31まで」は、基礎講習を受講していなくても、運行管理者の代わりに点呼執行をすることができる期間でしたので「実務経験」にカウントされる期間です。

そのため、法改正されても、平成19年3月31日以前の一般講習はカウント対象になります。

第24条 運行管理者の資格要件
1.第1項の「実務の経験」とは、運行管理者等として実際に運行管理に携わっていた経験(平成19年3月31日以前に実際に運行管理に携わっていた経験を含む。)をいう。

ただし、平成19年4月1日改正してからは、基礎講習を受講しなければ実務経験を積むことはできないので、↑のサンプルで言えば、H19.4.1~H23.6.1の基礎講習受講までの間は「実務経験に該当しない」と見なされます。

(2) H19.4.1以降に基礎講習を受講した場合

(例)①~⑦の運行管理者講習を受講したAさんを例に説明します。

① 一般講習(H22.10.4)…平成22年度【×】
※基礎講習を受講していないため、カウントされない)
② 基礎講習(H23.6.1)…平成23年度【カウント1】

【H23年度に基礎講習を受講したので、H24年度から一般講習受講がカウントされるようになる】

③ 一般講習(H24.3.9)…平成23年度【×】
(同一年度に複数回受講しても1回しかカウントされない)
④ 一般講習(H25.6.9)…平成25年度【カウント2】
⑤一般講習(H26.9.2)…平成26年度【カウント3】
⑥一般講習(H27.9.1)…平成27年度【カウント4】
⑦一般講習(H28.5.4)…平成28年度【カウント5】

サンプルの解説

Aさんは平成23年度以前に基礎講習を受けたことはありません。

基礎講習を受講していないものが、運行管理者の代わりに点呼執行をする補助者になれるでしょうか?なれないですよね?

当然、「実務経験」を得ることはできません。

「実務経験が得られる」補助者の資格を得てから、一般講習等の受講カウントが始まるので、①の一般講習の受講は、5カウントから除外されています。

さらに、③が×なのは②と同じ年度で受講しているため、カウントされません。

よって、Aさんは、

1回目 ②基礎講習
2回目以降④~⑦

で、合計5回受講したことになるわけです。

4.いま意識しているのであれば、まずは基礎講習に申し込む

・運行管理5年以上の経験者
・その間に自動車事故対策機構が行う講習を5回以上

いまから、この条件に一致させるためには、

①まずは、基礎講習を受講すること。
②次年度から、毎年度、一般講習を1回受講すること

基礎講習1回と一般講習を4回受講したら、もうひとつの条件である運行管理5年以上を証明する「実務経験証明書」を会社に記載してもらうこと。

これだけです。

5.届出が必要

運行管理者の資格者証に必要な計5回の講習を受講したからといって、自動的に「運行管理者資格者証」を取得できるというわけではありません。

条件をクリアしたら、自身で届出書類を作成し、国に届出する必要があるのですね。

☆手続き方法が分からないという人は、↓の関連リンクを参考にしてください。

運行管理者試験に合格した人は、同封されている運行管理者資格者証交付申請書に必要事項を記入して、運輸支局 整備部門へ届出すれば、運行管理者資格者証を発...
運行管理者資格者証交付申請書の書き方と手続き方法を簡単にまとめてみた! - トラックの杜│一般貨物運送事業に役立つ情報をブログでお届け!

ちなみに、運輸支局の整備部門が窓口になります。
申請(収入印紙代がかかります。300円くらい。)すると資格者証が配布されますよ^^

最低でも5年かかりますが、試験勉強をしたくないという人はチャレンジするのもいいかもしれませんね。

まとめ

当ブログは、トラック運送会社のためのサイトですので、タクシー・バス・貸切バスなどの旅客関係では当てはまりません。

旅客関係の運営をしている会社は、直接、運輸支局などに確認しましょう。

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