運輸業界では、ドライバーの安全運転を守るために、運転時間のルールがしっかりと定められています。
これは、長時間の運転が疲労を引き起こし、事故のリスクを高めることがあるから…なのですが、現実には、運転中に休憩を取るためのサービスエリアやパーキングエリアが満車で、停車できないといった問題もあります。
通常は連続運転時間を4時間までに制限する必要がありますが、やむを得ない場合にはその上限が延長され、4時間30分まで運転を続けることが許されています。
本記事では、この例外ルールが設けられた理由やその適用の実例、さらに安全運転にどのように役立っているのかをわかりやすくご紹介します。
1.連続運転時間に関するルールと注意点:わかりやすく解説
まずは「やむを得ず4時間を超える場合、4時間30分まで延長可」という条件について気になる点を解説します。
1)30分の延長を記録する方法
4時間を超えて30分延長する場合、その運行時間はどのように記録すれば良いのでしょうか?
基本的には、デジタル式運行記録計での記録に加えて、運転日報などの紙ベースの記録も必要です。これにより、どのような状況で延長が発生したかをきちんと管理できます。
2) 「やむを得ず」とはどのような場合か?
「やむを得ず」とは、具体的にどのような状況を指すのでしょうか?
たとえば、サービスエリアが満車で停車できない場合や、大型車用の駐車スペースがすべて埋まっているといったケースが含まれます。
3) 延長は1日何回まで可能か?
この30分延長は、1日の運行で何度も利用できるわけではありません。
連続運転時間1回につき、延長できるのは1度だけです。さらに、最初から混雑することが予測されるエリアで、4時間を超える運行計画を立てることはルール違反とされるので注意が必要です。
4)サービスエリア等は高速道路限定か?
停車場所に関する疑問も多いかと思いますが、サービスエリアやパーキングエリアには高速道路上のものだけでなく、コンビニエンスストアや道の駅も含まれます。
これらの施設は一般国道にも併設されていることがあるため、高速道路だけに限らず利用可能です。
2.記録は第3者にも把握できるようわかりやすく
4時間を超えて30分延長する場合、”アナタコやデジタコに記載”しなければいけませんが、どのように書けばいいのでしょうか?
答えは
「場所+理由」です。
例えば…
・SAが満車のため
・道の駅が緊急工事をしていたため
などの書き方がいいでしょう。
このように記入していれば、巡回指導や行政監査の係員も一目で理解でき、指摘されることはありません。
3.記載していなければ、過労として指摘対象
やむを得ず連続運転時間が4時間を超えたけれど、理由等が記載されていなかった場合、巡回指導では、適正化事業実施機関からどのような指導を受けるのか、直接、問い合わせしてみました。
Q:「もし、SAが満車などでやむを得ず4時間を超える連続運転があった場合、運転日報(運行記録計等)に記載がなかったら指導対象になるのか?」
A:「記録がなければ証明することができないため、口頭でいくら「SAが満車でした!」と説明しても”指導対象”になる。そのため、乗務員には、運転日報等に確実に記録するよう情報を共有していただきたい。」
以上でした。
運転日報に書かなければいけない「出庫・帰庫、休憩地点時間」など記載漏れが多いかと思いますが、やむを得ず連続運転4時間以上になった場合も、書き忘れている可能性が高いです。
ただ、この場合、書き忘れると大変。
”過労”として取り扱われてしまいます。
デジタコやタコチャートを見て、4時間を超える連続運転があれば、運転者からヒアリングした後、かならず書かせるよう指導しておきましょう。
まとめ!
この記事では、運輸業界における連続運転時間の規制とその例外について詳しく説明しました。
ドライバーの安全を守るため、連続運転時間は4時間に制限されており、やむを得ない場合に限り30分の延長が認められています。
しかし、その際には適切な記録が必須です。
記録には具体的な理由を明示し、第三者にもわかりやすくすることで、監査や指導の際の指摘を防ぐことができます。正確な記録がない場合、過労として扱われるリスクがあるため、運転日報などへの記載を徹底することが重要です。