トラックの杜│一般貨物運送事業に役立つ情報をブログでお届け!

運行管理者と運転手は兼任できるの?

先日、とある運行管理者から、次のような質問をいただきました。

お尋ねしたいことがあります。運行管理補助者は、
運行管理者が不在時でも点呼が可能なのでしょうか?

一日中不在の場合でも月単位の点呼にて、回数はカバーするのでしょうか?
運行管理者は運転者として登録し、運行はできないのでしょうか?

以上をお聞きしたいのですが…コメントでなくても申し訳ありません。
よろしくお願いします。

(原文ママ)

回答が長くなってしまいそうなので、記事にさせていただきました。今回、質問していただきました”yamiyojidousha”さん、ありがとうございました!

また、みなさまもご不明な点がありましたら、お気軽にコメント欄で質問してくださいね^^

1.運行管理者が不在時でも補助者による点呼は可能なの?

まず、質問の「運行管理補助者は、運行管理者が不在時でも点呼が可能か?」の答えは…「できます。」

ひとつの例をあげます。

会社名 … A運送 本社営業所
車両数 … 18両
運行管理者 … 田中氏
運行管理者補助者 …鈴木氏

このような運送会社があったとします。

このA運送では、いままで運行管理者である田中氏がひとりで点呼執行をしていました。ちなみに今回、例にあげたA運送は29両以下ですので、原則、運行管理者の選任数は1名いればOKです。

けれど、A運送は荷主の要望で長距離輸送を始めることになりました。そうなると、早朝・深夜の点呼執行もしなくてはいけなくなったのです。

いままで、朝・夜の2回の点呼執行だけ意識していればよかったのですが、中間点呼の昼間に加え、早朝・深夜等、24時間体制で点呼を管理しなくなったA運送。

けれど、運行管理者である田中氏は、24時間働き続けることなんてできません。

運行管理者の負担を助ける補助者

このようなときのために、運行管理者の補助者制度があるのです。

運行管理者を助けるための制度ですから、運行管理者が休みのときなどを含め、不在時でも補助者が仕事(点呼)をカバーしてもOKというわけなんですね。

この制度を利用して、運送会社の中には、早朝・深夜等、不規則な時間帯は、年配の運行管理者 補助者をアルバイトで雇ったり、運行管理者 補助者の資格を持つ乗務員同士で点呼執行を行ったりして法令を遵守するために頑張っているところもあります。

2.1日中運行管理者不在の日があったとしても、月単位の点呼執行回数でカバーできるの?

点呼執行は運行管理者の大事なお仕事です。
だから、運行管理者補助者にすべて任せるわけにはいきません。

運行管理者は責任ある仕事なので「運行管理者が3分の1以上の点呼をしなければいけないが…その解釈は?」でも紹介したように、法律上、最低でも点呼執行を3分の1しなければいけないルールになっています。

ですが、3分の1ルールはあくまでも月単位です。この3分の1以上、点呼執行しなければいけないルールは、けっして難しい制約ではありません。

ルールは難しくない

法律上、運行管理者が最低限、点呼執行を行わなければいけない回数が決められていると聞くと、ルールが厳しそうに聞こえますが、じっさいに運送会社の取り組みを見るとさほど厳しい条件でないことがわかります。

たとえば、

午前の点呼執行 ⇒ 運行管理者が担当。
午後の点呼執行 ⇒ 運行管理者補助者が担当。

この役割分担でも、半分である2分の1を運行管理者が点呼執行していますよね?

これだけで簡単に3分の1以上の条件をこなしたことになります。

休暇などで1日運行管理が不在の日があって、運行管理者補助者が業務をカバーしたとしても、よほどのことがない限り、運行管理者の点呼執行が足りないということにはならないというわけなんですね。

そのため、よほどのことがない限りは、運行管理者の点呼執行が1/3未満ということにはならないのです。

3.補助者制度ができたわけ

1人の運行管理者が24時間365日勤務して管理することが現実的に不可能です。

そのため、同じ営業所内で運行管理者資格を所有した者や基礎講習などを受講した一定の能力を有するもの(運行管理者 補助者)を選任することができるシステムになっています。

ただし、あくまでも補助的な行為なので、運行管理者の指導監督のもと業務に従事する必要があります。だから、市販の点呼記録簿を見ると、右上に運行管理者の押印欄がありますよね。

たとえ、補助者が点呼執行したとしても、後で運行管理者が確認して「問題なし」と判断して印鑑を押す。つまり、運行管理者の責任のもと管理している証明になっているというわけです。

運行管理者が点呼執行の責任を放棄したというわけではありませんので、そこは気を付けておきましょう。

4.運行管理者は運転者として登録し、運行はできないの?

以前はトラック協会のテキストでも「運行管理者は運転者として選任できない」といった記載がありました。しかし、いまのテキストには存在していません。

私も理由はわかりませんが、その根拠は、おそらく当時は「運行管理者は常住していなければいけない」という決まりごとがあったためだと思われます。(参考⇒「車両の稼働中、運行管理者は営業所に常駐する必要があるの?」)

ですが、運行管理者が常駐しなければいけない決まりごとはなくなりました。

なので、いまは運行管理者=運転者でも問題ないです。

国と適正化事業実施機関にも確認しています

法律が平成19年に改正されています。

しかも、あまり周知されていなかったため、いまでも運行管理者が運転手を兼務してはいけないというHPもチラホラ見かけます。

念のため、運輸支局と適性化事業実施機関の両方に電話したところ、どちらからも「運行管理者が運転手を兼務してもOK」という返事をいただきました。

ただ、セルフ点呼(自分で自分を点呼)することはできないので、運行管理者が運転者として運転する場合には、補助者が運行管理者を点呼執行することだけ気をつけておきましょう。

補足!

行政書士のHPを見ると「運転者と運行管理者は兼任できない」という解説も見かけます。でも、根拠はありません。

当ブログにも「運転者と運行管理者は兼務できないのでは?」と質問が来ることがけっこうあります。そこで不安な方のために、もうひとつのおまけを紹介しますね。

国のバックアップのもと、全ト協が実施しているGマーク申請案内の役職員名簿の記入例も次のように書かれています。

まず、左下にある赤枠のところを見てください。

「選任運転者にはカラーマーカーを入れる」ことになっていますよね。次に「豊島 明」さんの欄を見ると、カラーマーカーで色付けされているため、豊島さんはトラックを運転する選任運転者であることがわかります。

さらに、豊島さんの名前のとなりにある職種の欄を見てみると「運行管理者・運転者」に〇が付いてます。

このように、国と全ト協が認証するGマークの記入例においてもすでに「運行管理者と運転者」の兼任に問題ないと記載されています。

まとめ

今回は、運行管理者が不在のとき、補助者がかわりに点呼執行を行ってもいいのか質問をいただき、それについて解説させていただきました。

じっさいに、この問題については、多くの運送会社が迷っていることです。それが共有できてよかったです。

簡単なことでも構いません。
業務をするうえで行政に聞きにくいことを聞いてくれると嬉しいです。
そして、この業界をもっと盛り上げましょう。

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